第一歩は大家さんの意識をリフォームすること

【「新築そっくり」にリフォームしてもなぜダメなのか?】
 「クロスや床材を貼り替えたり、塗装を塗り替えたり、新築そっくりにしたつもりなのに、半年も空室のままです。なぜ入居者が決まらないのでしょう?」
 私のところには、空室物件を抱えたオーナーさんから、よくこんな相談が持ち込まれます。
 新築そっくりにキレイな部屋なら、すぐ空室は埋まるはず……。皆さんそう考えるのも無理はありません。でもちょっと考えてみてください。生半可なリフォームでは、本当に「新築そっくり」にはなりません!

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 実際にそうした部屋を見せてもらうと、入居者が決まらないのは「なるほどな」とうなずけます。確かに壁、天井、床材はキレイでピカピカです。でもふすま戸や蛍光灯、キッチンや洗面台が、いくら磨いても落とせない”時代”をかもし出していて、どうにも中途半端でアンバランスな印象になってしまっているのです。
 かといって、クロスや床以外の部分もすべて取り替えたとしたらたいへんな出費で、それでは採算に合いません。
 そもそもキッチンや洗面台などの設備機器といったものは、いくらその時点で最新のものに替えたとしても、すぐにまた新しいものが出て時代遅れになってしまうもの。新築の価値とは「新しいこと」と、「その時代の標準装備の設備があること」ですが、時間が経てば「標準設備」も時代に合わなくなり、また新しい設備が必要となります。
 つまり、「新築そっくりにすればすぐ空室は埋まるだろう」という考え方は、(確かにそれで効果が出る場合もあることを否定はしませんが)限りなく危険な幻想なのです。この幻を追えば追うほど、当然多額なコストがかかります。数年すれば新しかった設備も再び時代に合わなくなり、さらにまたリフォーム費用をかけて……そんな悪循環になりかねません。

 世の中には、次から次へと「新築物件」が誕生しています。だからほかのオーナーさんたちも、自分の物件を「新築そっくり」にしようとしているのです。あなたは同じやり方で戦いますか? これでは安売り競争と同じで、多額の資本を投下できる人だけが勝ち残るという話になってしまいます。結局は本物の「新築物件」や、あなたよりさらにたくさんコストをかけた「新築そっくり」には勝てません。
 だから私はこう言います。「新築の価値を追うのではなく、新築にはない、あなたの物件ならではの価値を作り出しましょう」と。

 入居希望者は常にあなたの物件とそのほかの物件を比べて見ています。入居希望者に、「新築・新築同様」とは違う価値を提示し、そこに魅力を感じさせれば、あなたのひとり勝ちです。逆に、いくら多額な投資をして「新築物件」に一生懸命近付けたとしても、それが入居者にとって魅力的な物件になるとは限りません。
 ただし、「その物件独自の価値を作り出す」というのは口で言うほど簡単なことではありません。「新築の価値」は見た目に非常に分かりやすいですが、「新築にはない価値」については、あなた自身が創造しなければならないのですから。
 普通に考えれば、機能的な便利さでは新築にはかなわないでしょう。ですから抽象的な表現になりますが、例えば「安らぐ」、あるいは「和む」とか「癒す」といった、時代を経たものだからこそ出せる雰囲気を生かして、「この部屋で暮らしてみたい」と思ってもらえるような物件にすればいいのです。
 つまり、入居者に「部屋」を提供するのではなく、「暮らし」を提供するという視点で考えなくてはなりません。それが、新築かどうかに左右されない、その物件ならではの価値につながっていきます。

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 そのために大事なことは、まずは入居者がお客様であることを再認識し、お客様のココロをつかむために何をしなくてはいけないのか考えることです。今まではどうでしたか?「どこもそうしているから」あるいは「不動産屋さんが勧めるから」ということで、何となくリフォームや部屋の仕様を決めてしまったり、人任せにしていたりしませんでしたか?
 あなたの物件を常に入居者に選ばれ、そして愛される「プレミアム物件」にするために必要なのは、建物のリフォームよりも、あなた自身の経営意識の改革なのです。